第10章 かきやりし その黒髪の 筋ごとに うち伏すほどは 面影ぞたつ
「あ。あぁ」
動く度に揺れる天狐の耳
もう、力など入っておらず、動く俺たちと一緒に揺れるだけ。
ちりちりと焼かれていく理性。
なんとか保つためにくだらない事を考える。
しょーもねぇ本とは大違いだ。
見て、一人でやるのとも違う。
目の前に好いた女がいて、そいつが焦がれに乱れてんだ。
本なんかよりイイに決まってる。
「しかまる」
「んだ!」
「良い、イイ」
「そーかよ!ったく、かわいい声で鳴きやがって」
「きゃん、あ、あ!」
訳が分からなくなりそうだ。
何度も何度も打ち付けているうちに、もっと、もっと。と本能が燃え上がる。
目の前にいる女の事を気遣う余裕なんて無くなりそうだ。
「あぁ!んや!あ!い!」
「良いか?」
「いい!」
「じゃ、いけ」
律動を早めれば、一際狐らしい声で鳴いて、がくがくと震えた。
かくり。と繋がった尻だけを残して、天狐は崩れた。
まだ燃える俺の一物は、動け動け!と囃し立てるが、最後に残った理性の一遍で、天狐のために止まる。
「天狐」
「はぁ、しかまる」
「悪い、俺も良くしてくれや」
「ん、あ!まって!」
「待てねぇ!」
悪いな。理性が燃え尽きちまった。
剥き出しの本能で、天狐の腰を強い力で掴み、動け動け!と叫ぶ一物に従って俺を打ちつける。
「ひゃ!あ」
「う、は」
「しかま、る」
止まってくれ。と許しを乞うように、俺に後ろ手を伸ばす天狐。
燃え上がる本能はその腕を掴み、悪いが一緒に燃えろ。と言わんばかりに、腕を引く事しかできなかった。
潰れる果実の音が耳に入り、また一段と熱を増す。
「あぁ、天狐」
「あ!あ!きゃ」
「くあっ!あ!」
爛れるほどに熱量を増し、俺は燃え尽きた。