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~短歌~

第9章 君待つと 我が恋ひをれば わが屋戸の 簾動かし 秋の風吹く




「あー。誰んだろうな。見たことねぇわ。」
「シカマル君も見たことありませんでしたか。」
「リー。うちの物でもなかったようだ。ん、シカマルか。」
「よう、ネジ。」

横にある門は日向家の門だったよう。
きっとネジはヒナタの妹ハナビの物ではないかと推察して聞きに行っていたのだろう。
リーだけに限らずガイ班の奴らは意外にも律儀で義理がたい。

「シカマル君も分からないみたいです。あ、ネジ!あなたの白眼で何か分かりませんかね!やって見てください!」
「ふむ、そうだな。」

たかが子供の落とし者だと思われる物にそこまでするか?と思いつつも、あのガイの熱血ぶりから見ると、あれを師に置く彼らに影響してもおかしくない。
白眼まで使って小さな風呂敷が誰の物か特定しようとする、こいつらの懐には頭が下がる。

「いくつか同じような毛が付いているな。黒い毛?」
「黒い毛?」
「あ、シカマル君?」

一番に反応したのはもちろん俺。
リーが両手に乗せていた風呂敷を奪い、ネジが指を伸ばした先を睨みつける。
見覚えのある毛だな。

「付き方からして、何か獣の首にでも結ばれていたようだな。」
「あー。コレ俺んちの狐の毛だわ。」
「もしかして、天狐という黒い狐の物ですか?」
「リー達も知ってんのかよ。」
「テンテンがそんなような事を騒いでたな。」
「そうですね。」
「まぁ、手間かけたな。ありがとよ。」
「いえいえ、見つかって良かったです。」

また一つ手掛かりを得た。
この菓子はきっとあの甘味処の商品だろう。
いのかサクラが手土産にくれたに違いない。
しかし、あの食い意地の汚い天狐が大事な菓子を落としてそのままってのも気になる。
しかし、誰かに連れ去られたとも考えにくい。
あれはあくまでも狐。
ただの狐。


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