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~短歌~

第9章 君待つと 我が恋ひをれば わが屋戸の 簾動かし 秋の風吹く



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今まで集中していたのに、ふいに足を動かしてその場に触る柔らかな毛がないことに焦る。
気が付けばそろそろ終業の時間で、固まった肩を動かし今日はもうこの辺で上がると心に決める。
天狐を迎えに行かなければ。
カカシと出ていったきりだ。
何かあるとは思っていないが、何かあったらと思うと急く。

「お先に失礼します。おつかれっした。」

と、誰に呼びとめられないよう、なにか急な事があるようなそぶりでここを出る。
さて。あいつはどこに居るだろうか。
今年二度目の開花をしている沿道の萩の花を横目に見ながら、何処かに黒い毛の面影はないかと、家路を遠回りして歩く。

「あ、シカマル。」
「いの。」
「お疲れ。あら、天狐と一緒じゃないのね。」
「散歩に行ったっきりだぜ。どこ行ったかしらねぇか?」
「さぁ。一緒に甘味処に行った後からは知らないわよ。」
「また、連れてったのか。」
「サクラも一緒だったの。」
「はぁ。いつも悪りぃな。今度なんか奢っから。」
「いいわよ別に。好きにやってるんだから。」
「すまんな。けどあんまり、甘やかしてくれるなよ。」
「過保護ねぇ。」

じゃぁな。と別れて歩きだし、にやける口元を手で覆い隠す。
いのの奴は「カカシ先生に奢って貰った」とは言わなかった。
いのとサクラが揃っていて、その場にカカシがいれば、一も二もなくカカシが奢らされていただろうから。
天狐はカカシと別れ、いのとサクラと居る事を選んだ。
ただただ甘味に釣られただけかもしれなかったが、俺の頭が意味不明な深読みと先読みをする。
甘味処でいのとサクラと別れたのなら、俺の所へ戻ってこようとしていたのだろうか?
けれど、戻ってきた気配も姿もない。
では、何処へ行ったのだろうか?


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