第7章 恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか
数日後、シカクに私の鼻を頼られて仕方なしに、シカマルと犬の匂いのする雌と雄の姉弟と任務に出かけた。
シカクは近場の簡単な任務に修業と称して連れて行ってくれているし、シカクから忍術なるものの心得も習っている。
鼻だけでなく多少は他も役に立てればと思った。
だから、目の前に巨大過ぎる鷹が現れた時、自分の力を試してみようとしたのがいけなかった。
「寝るなよ天狐!しっかりしろ!」
「あう」
「おら!目ぇ閉じんな!」
「しかく」
「開けろ!」
「いい」
「馬鹿野郎!お前はあいつの顔を見ただろう!」
「きえる」
「大事でしょうがねぇ顔だよ!」
「しらぬ」
「しっかりしろ!」
「ふう」
「天狐!おい、天狐!」
痛いのは身体じゃない。
心の臓の奥の奥だ。
深い深い所が治療しようなく痛い。
「綱手様!こいつを!」
「シカク?いや、狐?」
「おい天狐、人間になれ、いますぐ!ほら、チャクラを分けてやるから!」
「天狐?あのシカマルが連れていた狐か。」
「そうです。絶対助けてやって下さい!」
「だが、狐は…。」
「人に成れるんです!天狐!おら!」
言われるがまま。
頭では無く体が勝手に動いた。
やっとの思いで人に成り、姿を保つのにシカクが途切れることなく力をくれた。