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~短歌~

第7章 恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか




「じゃぁ居るといい。部屋の前で誰かが入ってきてこの耳と尾に驚いて卒倒しないようにな。丁度いいだろ。めんどくさがりなお前には。廊下に出て、ただただ人を見てるだけでいいのだからな。」
「ふがし食うか?」
「お前のはいらん。シカクとヨシノのがいい。」
「あぁ。ばらばらになってるわ。こりゃ食えねぇな。」
「だから、いらんと言ってる。おい、こら。机に出すな。本当にバラバラじゃないか!」
「舐め取らないのか?味は一緒だ。」
「はぁ?お前はここへ、私の自尊心を傷つけに来たのか?!人の形をした者が、机に顔を侍らせて無様な犬のように舌で掬い上げろと?」
「いや、お前は狐だろ?」
「馬鹿言え。私は北斗七星の化身、黒狐の天狐だ。いかに腹が減っていようと無様な真似はせん!」
「狐でもねぇ、人でもねぇ。言ったな?」
「だからそう言ってる。」
「でも、人に寄せる事も狐に寄せる事も出来る。ちがいねぇな?」
「は?ま、まぁ見よう見真似だが。そういうことじゃ?」
「だろうな。じゃぁな。また来るわ。」
「お?おう。」

俺、頭良くて良かったわ。
生まれて初めてこの頭に生んでくれた父親と母親に感謝の念が生まれたわ。
とにかく俺は今、舞いあがっている。
のぼせているとでも言うのか?
今まで行き詰っていた研究に、光明が見えたみたいに舞いあがっている。
誰かをぶん殴りたいぐらいだ。
全力で。
何度も。
狐につままれるのも悪かないさ。




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