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~短歌~

第7章 恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひ初めしか




「シカマル!」
「親父。」

そうとうに慌てた親父が同じくこちらに走ってきていた。
ハナさんも困惑した表情。

「天狐が攫われた。」
「は?」
「天狐が?何でまた?」
「鷲だ。」

ハナさんの呼びかけに答えるように、俺達に何かが影を落とし、大きな風を置いて行った。

「ギャーッ!ギャーッ!」

耳をつんざく甲高い声は鷲の鳴く声。
思わず耳を塞いでしまったが、見上げた端に毛先の白い筆尻尾が見えた気がした。

「くそっ」
「おい!シカマル!」

羽を広げりゃざっと4mもあるようなでかい鷲に捕まって、逃げ出せるサイズの狐じゃない。
そもそも鷲のあの脚の握力は100Kgを越すと言う。
掴まれたらひとたまりもない。
慌てて木のてっぺんに躍り出ると、天狐を攫ったであろう4m級の大鷲の後に、一回り小さな鷲が飛んでいた。
そうか、この時期は親鳥が狩りを教える時期か。
きっと向かう先は彼らの巣だ。
視線を先に投げれば壁の様な岩。
そこにある。

「おい!シカマル!まて!」
「キバ、あそこだ。」
「あん?」

赤丸に乗り追いついてきたキバ、俺が指し示す方向に視線を向けて犬のように唸った。

「でかすぎじゃねぇの?4畳半は余裕であんだろあれ。」
「きっとあれは練習用の獲物じゃねぇ。餌だ。」
「ふん。急がねぇとな。」

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