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~短歌~

第6章 行く水に 数書くよりも はかなきは 思はぬ人を 思ふなりけり




「おはようございますゲンマさん。」
「おう。ちゃっちゃと済ませちゃおうか。」
「はい。」

朝一番に火影様への報告。
次に資料作成。
それから飯を食って、また火影様に呼び出されて仕事を押し付けられる。
机にじっとしていられない性質の綱手様が、火影の座を任されて本当に大丈夫なんだろうか。
それを適当に切り上げて、帰り際チョウジといのと出くわす。
ラムネをつまみに世間話。

「あーぁ。またあの中忍試験を受けなきゃならないなんて。」
「受けねぇと一生下忍のままだぞ。」
「シカマルみたいに、勝ってなくても中忍になれたらよかったのになぁ。」
「ホント。前回の試験の時はハプニングがあったんだもの、ちょっとは考慮してくれてもいいわよね。」
「お前らなぁ…。」

じゃぁな。と二人と別れいつもの帰り道を何となく歩く。
唐突に耳に入ってきた、女の甘い声。
思わず視線を取られると、めんどくさそうな男女のカップル。
髪飾りの露店の前に陣取り、あれやこれやと店先をひやかしているようだった。
俺はあんなめんどくせぇことする気にはなれない。
その店先の飾りっ気のないただの櫛が目に止まり、めんどくさそうなカップルを追い払うように、ずい。とその櫛を店主に求めた。

「まいど。」

その言葉には多少のひやかしも含まれていた気がした。
馬鹿言え、これは女のじゃねぇよ。
露店に背を向け、買った櫛の入ったポチ袋をポケットに押し込む。


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