第15章 嘆けとて 月やはものを 思はする かこちがほなる 我が涙かな
「木の葉はいつもこんなに雪深いのか?」
「あん?今年は特にだな。」
昼食を終え、宿に案内したあと、テマリに案内をせがまれ、俺とテマリ、それから天狐の三人で今度は木の葉の観光案内をする。
「砂にもこうして雪が降ればいいなぁ。」
「砂の里は、年中砂なのか?」
「あぁ、そうだよ。四季は僅かに砂の色が移り変わるだけ。まぁ、天狐の様に着こまなくて済みはするがな。」
「人の姿で着こまなくていいのは羨ましいの。ほれ、このとおり。動きにくい。」
「ははは!毬みたいで可愛いじゃないか。」
「ほほう?可愛いか?」
「天狐は人でも可愛いな。」
「ふっふ。ありがと。」
俺に案内を頼んでい置いて、天狐とテマリの二人は話に花を咲かせながら、さくさくと先を歩いていく。
人の多い市場だが、二人の行く先はわかっている。
甘味処だ。
しかも、焼きマシュマロを出してくれる店。
いっそ俺はいらなかったんじゃないかと思う。
「ほれ、シカマル。置いて入るところだったぞ。さっさと来んか。」
「つーかよ。俺、付いてくる必要あったか?」
「まぁ、良いじゃないか。砂を案内した礼だろ?付き合え。」
「はぁ。はいはい。」
にっこりと二人の女の機嫌がいいのはいい。
女ってのはちょっとでも機嫌が悪いと扱いがめんどくせぇんだ。
機嫌がよさそうでも、下手に言葉を掛ければ地雷を踏みかねねぇ。
仕方なく店内に入れば、暖かかった。
天狐のお勧めを注文し、また話に花を咲かせる。