第14章 君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな
「雨がやみそうだ。」
「じゃぁ、帰ろうぜ。家帰ってさっさと風呂入って、飯食って、寝る。」
「異議なしじゃ。」
湿った身体に湿った衣。
乾くことなど無いから、二人仲良く気持ちの悪い服を着る。
私は人の成りのままシカマルに抱かれ、木々を蹴って飛んで不満顔で家に帰った。
ヨシノが濡れ雑巾のような私とシカマルを見て、一つ大笑いしながらも、私の体調を気遣ってくれた。
湯に入った後二人ゆっくり、温め直してもらった夕食にありつく。
「災難と言うべきか否かじゃな?」
「災難としか言いようがねぇよ。」
「洞の事は?」
「そりゃ、ラッキースケベだろうな。」
「なんじゃそりゃ。」
「棚からぼた餅」
「ふぅん。そりゃぁいい。棚から菓子が出てくるのじゃから?」
「間違っちゃないな。お前は菓子みてぇなもんだから?」
「菓子といやぁ、秋に食べた焼きマシュマロとやらが食べたいな。」
「今、飯食ってんだろうが。」
「あれと辛い酒がまた合う。」
「おめぇはオヤジか。」
「ほう?シカクはしょっぱい物と辛い酒が好みだぞ?」
「んなこた聞いてねぇよ。興味ねぇよ。そっちのが美味そうだけど。」
「まぁ、どっちも捨てがたいのは確かじゃなぁ。」
「そーかよ。」
尽きぬ話は面白い。
幾夜も明かし通せる事じゃろう。
シカマルとなら。
(蒲団の季節)