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~短歌~

第13章 浅芽生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき




「めんどくせぇ」
「めんどくさがらない。特に、天狐ちゃんは特殊なんだから注意しないといけないでしょ?」
「はぁ。あれか?動物病院の方がいいか?」
「そんなのわかんないわよ。あんたが一番一緒に居るんだから、そこら辺の判断はシカマル次第よ。」

結局飯を奢っただけで薬は貰えず、手ぶらで仕事に戻る。

「あ、シカマルさん。」
「んあ?」
「お客さんです。あの、女性の…とてもきれいな。」
「……誰だ?」
「さ、さぁ。とりあえず客間でお待ちいただいてます。」
「ふーん。」

誰だ一体。
テマリか?
いったい俺に誰が何の用だ?と不安になりながら客間の扉に手をかけた。
その時、中から、ケホゴホ。と咳こむ声が聞こえて、あぁ天狐か。と扉を開けた。
もちろん客間のイスに座っていたのは、暗号部のしほが言っていた通り女性。
頭から顔を隠すように大きな笠を被り、腰にはこの時期にはまだ早すぎるだろう腰巻きを巻く厳重さ。
そんなに中途半端に人間になるところを見られたくないのか?

「何しに来たんだ。そっちのカッコで。」
「ヨシノに、シカマルを頼って病院へ行けと追い出された。金子はほれ、ここに。」

懐から財布を取り出して俺に渡してくる。
何でまた人の姿のまま?
ここでは誰が聞いているかわからない、自分の事をなるべく見られたくない。と頑なになる天狐のために、とりあえず病院へ向かうことにした。

「しほ。」
「あ!はい!」
「わりぃ、コイツ知り合いなんだわ。ちょっと病院連れてくから。後頼んだ。」
「え?あ、はい。あの、大丈夫ですか?」
「さあな。それを見てもらいに行くんだ。」
「そ、そうですよね!いってらっしゃいです、シカマルさん!」


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