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~短歌~

第13章 浅芽生の 小野の篠原 忍ぶれど あまりてなどか 人の恋しき




段々と寒くなる朝に、この暖かな布団から出る事が出来ない。
ただの布団ならそんな事もないのだろうが、ここには湯たんぽの如く温かい上等な毛皮がある。
無意識のうちに自分に引き寄せると、唸り声と共に奪われる。
もう少し。と二度寝を試みようとしたが、唐突に無くなった温かな布団の代わりに、恨みがましい声が聞こえる。

「毎朝毎朝、新たに癖を付けてくれよって。自慢の尾が台無しじゃ。」
「さみぃんだよ」
「ふん。しっかり食って肥えないからだの。チョウジを見習え。」

だすだす。と足音煩く部屋を出ていく。
扉の向こうに白黒逆転した筆の様な尾を見送って、大あくび。
無駄に早起きをさせられるこっちの身にもなってくれや。

欠伸をして滲み出る涙を手の甲で擦って、今日も一日仕事に取り掛かる。
何でこんなに眠いんだ?と昨夜を思い返し、思い返すんじゃなかった。と一人ため息。
昼も間近になった頃、天狐の薬の事を思い出した。
めんどうになってきた仕事を放り投げ、昼食ついでにサクラの所へ向かった。

「シカマル。昨日は柿と栗ごちそうさま。天狐ちゃんにお礼言って置いて。」
「おう。」

木の葉病院の受付でサクラが何処に居るのか聞いていると、運よくサクラが外から戻ってくるところだった。
昼食を奢れ。と脅され仕方なく院内の食堂に腰を降ろした。

「で。具合でも悪いの?」
「いやな。天狐がよ、咳が続くんだと。」
「天狐ちゃんが?」

経緯を話し、薬を貰おうと思ったが、そこは医療忍者らしく「本人の様子を見ない事には解らない」と突っぱねられ、今度天狐をここに連れてくる約束をする羽目になった。


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