第12章 黒髪の 乱れも知らず うちふせば まづかきやりし 人ぞ恋しき
「好過ぎん、だけど!」
「良い、あ!うあん」
愛おしいとか、愛してるとかが混ざり合い、不思議な気持ちになる。
これはなんだろうかと考えれば考えるほど頭の中が真っ白になる。
ぢゅ、ちゃ、ぐちゃ。
音が鳴る度、耳も侵され、何も考えられなくなる。
もっと、もっととヨさを求め、強く激しく動く。
「ひゃぁ!あ!あ!やぁめ、イく!」
「イけ!」
「ひゃぁあ、あぁきゃ!キャ!」
止まれない。
止まらない。
思いと欲と熱が、俺の理性なんかとっくに喰っちまっていた。
「しかまる!やぁ、まっ」
「ムリ!うぁ、いい!」
「しかまる!」
「天狐!」
水音と肌がぶつかる音と喘ぎ声と。
「やべ、イく!」
「あ、あ、あ。」
「っく!っあ。うぁ。」
びくん、びくん。と俺の欲を天狐の中に吐きだす。
吐き出さざるを得なかった。
そうでもしなければ止まらなかった。
天狐から一物を引き抜けば、ドロリと俺の精が天狐の姫場所から流れ出る。
薄暗い室内なのに、ひくひくと動く天狐のそこが良く見えた。
ようやく、艶めかしいとか卑猥だとかそういう感情が戻ってきた。
「天狐?」
横たわったまま荒く息をして、それ以外の反応がない天狐。
ちょっと不安になって呼びかけて見ると、尾が動く音が聞こえた。
大丈夫だ、生きてる。
「ケホッケホ」
「あぁ、風邪薬な。」
「先、サクラの所へ出向いた時に貰えば良かったなぁ。」
「だな。」
白い尾先だけをぴくぴくと器用に動かし言う天狐。
そのまま寝るつもりはないのだろう、やがてもぞもぞと動き出し、立ちあがって脱ぎ捨てた服を身にまとい始めた。
まだ、全裸で横たわっている俺の方へも服を投げてよこす。