第12章 黒髪の 乱れも知らず うちふせば まづかきやりし 人ぞ恋しき
「シカマル、くすぐったい」
「うるせぇ黙ってろ。俺にお礼すんだろ?」
「そう、じゃが。」
「じゃぁ、脱げ。」
ちょっとの命令口調で言って見れば、反抗するようにギラリと目を光らせた。
その目が以前の記憶を呼び覚まし、再びチロチロと燃え始めた。
一度燃えた事のある感覚と身体は正直で、箍が外れるのも早かった。
「あぁ。いい、脱がなくて。」
「は?」
「お前は黙って見てればいい。」
一つ、面白い事を思いついた。
俺はチャクラを練り上げ、この薄暗い部屋に影を巡らせた。
その一つで天狐を捕え、俺と同じ動きをさせる。
褥の上に立ちあがり、上着の裾に手を掛ける。
同時に動き互いに上着を脱ぐ。
天狐は本当の人の女のように、下着を身につけていて、それも一緒に動いて除いてやった。
「恥を晒す気か。」
「俺しか見てねぇし、お前の姿を誰かに見せるつもりもない。」
「私にだって羞恥心はある。」
「俺にだけ見せてくれたっていいだろ。」
グルル。と喉の奥で本気の唸り声。
きっと、ここで影を緩めれば俺は噛まれる。
本当の意味で噛まれる。
「それとも、後は自分で脱いで俺に見せてくれるか?」
「うぐ。」
俺は影を操り、天狐の体を縛る。
動きは同調させない。
俺は手を伸ばし、天狐の身体に触れる。
余裕のなかった以前とは違う。
一つ一つ確かめて覚えて、堪能する。
双丘の蕾に触れれば、ひゃん。と小さく声を漏らす。
そこへ噛みつき、手は腰を探る。
両手を後ろに縛り付けられ、ろくに動かない身体をびくつかせる天狐、俺の中の小さな小さな嗜虐心が首をもたげる。
下の衣もすべて取り去り、全裸の彫刻の様。
身体は動かずとも、その金の目だけは俺を鋭く射殺すようにこちらに向いている。
抗議の言葉を紡ごうをしたのだろう、息を吸った天狐を見計らって俺の唇で口を塞ぐ。
わざと、天狐の鋭い聴覚に大きく届くように、ちゅ、ぢゅ。と音を立てる。