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~短歌~

第11章 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ




「アスマ先生たち、いませんでしたね。」
「うむ。気配がなかったと言うことはまだ波の国に居ると言う事か?」

時は夕刻、いや、夜に近い時分だろう。
道端ではころころりんりんと虫たちが合唱しており、その声が無性に侘びしく感じた。
ここはひとつ、忍狐として凛と力を見せつけるべきだろう。
シカクが考えなしに私をこの二人に付いて行かせる訳がない。

「のう二人。少しばかり私に任せてくれんか。」

ガイの肩を降り、胸を張る。
もちろん!と快諾し、私が何をするのかと目を爛々と輝かせている。
まぁ、その視線が痛いのなんの。
もし、この先が波の国だと言うのなら、ここを通るしかあるまい。
他は広い川だ。
忍は水の上をも歩ける。とシカクが言っておったが、力も使うと言うからこんな広い川をわざわざ徒歩で歩くとは思えん。
よほどの事がない限りな。
犬のようでみっともないと思ったが、仕方ない。
地面に鼻を寄せスンスンと匂いを嗅いだ。
なんだ。拍子抜けだ。

「数時間前じゃなぁ。奴らはここを通り過ぎておる。里の方に向かって。」
「なに!?入れ違いになったのか!リー、もどるぞ!」
「ハイ!先生!」

突如ぐわんぐわんと身体が揺れ、自分が乱暴にどちらかの猿の腕に収まっていると分かった。
たぶん、ガイの方だ。

「もしかしたら違う道を使っているのかもしれませんね。」
「ふむ。波の国へはこの道が一番近いのだが。」
「ぅぇ…ここは獣道だぞ?人が通る事はないだろうよ?」
「なに!ほとんど人が通らない!」
「先生、道を変えましょう!」


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