第11章 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢の通ひ路 人目よくらむ
夕刻、手が空いたので狐に身を戻しシカマルを迎えに出た。
シカマルの香と共にチョウジの匂いもし、顔を合わせるとやはり二人一緒に居た。
「シカマル。迎えに来たぞ。」
「あぁ、ありがとな。」
「天狐、昨日ぶりだね。」
「チョウジ、任務は上手く行ったか?」
「うん。」
「じゃ、チョウジ、焼き肉は今度いのも誘って行こうぜ。」
「うん。置いてったらかわいそうだからね。」
手を振り別れ、私はシカマルの腕に飛び乗る。
「俺、明日からしばらく任務で家に帰れない。親父とおふくろの事頼むな。」
「どれくらいで戻る?」
「3日じゃねぇかな。まぁ、めんどくさい護衛の任務だ。」
「腕の立つシカマルを見込んでの事じゃろうが、気張ってくると良い。」
「なんだ。やけに褒めるな。新手の強請りか?」
「……。」
「なんとかいえ。」
「なんとか。」
甘えて褒めて、あわよくばふがしを。と思ったが、シカマルにもうこの手は効かないようだ。
また別の手を考えるとしよう。
「うん?シカクだ。」
「あ、親父?うわ、めんどくせぇな。」
風向きが変わり、鼻に触ったシカクの匂い。
しばらく家路を歩くと十字路でシカクと鉢合わせした。
「よぉ、シカマルと天狐。仲良しだな。」
「おかえり、シカク。」
「あ、アスマ。」
「先生だろ。シカマル。たまたまシカクさんと会って、今日はお邪魔させてもらうぞ。」
はっはっは!と笑う気風の良い雄はやはり気持ちがいい。
三人の雄と共に家に戻れば、何の連絡もなくアスマを連れて来たシカクはやっぱりヨシノに怒られていた。