第4章 雪原の皇子
楽しい遊びの時間もつかの間に過ぎてしまった。だがそれでも選手たちにとってはいいリフレッシュになったのではないだろうか。吹雪勧誘に参加していた円堂と春奈には申し訳ないことではあるが。
あれから約1時間、吹雪との話し合いは一段落したようでこれから雷門イレブンと白恋中学は練習試合をすることになった。この試合で吹雪の実力を確認したのちに、監督が吹雪を必要だと判断すればチームに加えるのだろう。相も変わらず染岡は不機嫌そうだが、吹雪を加えること自体は選手の人数が足りないのだから仕方のないことだと思う。
「花織ちゃんのユニフォーム姿、再びだな」
着替えて早々、土門が花織に言葉を掛ける。花織は髪の毛を結いながらうん、と頷いた。
「人数が足りないからね。足引っ張っちゃうと思うけど、よろしくお願いします」
「この間は十分動けてたじゃないか。まあ、それでもちゃんとフォローするから安心してプレーしなよ」
ぐっと親指を立て、ウインクをしながら一之瀬が花織に言う。それはとても花織には頼もしく見えた。実際、この二人のフォローはかなり頼もしい。他が頼りにならないというわけではないが、ポジション柄花織のプレーに積極的に干渉してくれるのがこの二人なのだ。
「話は変わるが、花織ちゃん。最近髪結ぶようになったな」
土門が腰に手を当てつつ、花織の髪を見ながら言った。花織はその指摘を聞いて自らの髪に手を触れる。花織は横髪は残していながらも後ろ髪だけは縛るスタイルにしている。俗にいう一本結びというやつである。花織はさほど髪が長くないからポニーテールにすることはできないのだ。
「うん、少し伸びてきちゃったから。動くときは長いと邪魔だしね」
「そういや前はもっと長かったよな。また伸ばしてるのか?」
帝国時代の花織を思い浮かべながら土門が言う。あの頃の花織とは鬼道のお気に入り、程度の関心しかなかったが、それでも髪が長かったということは覚えている。腰に届くのではと思うほどの長い黒髪……。今よりも取っ付きにくく見えたが、年相応ではない綺麗さがあった。
「うん、短い方が楽なんだけどね。それでも伸ばしたいの」