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嫉恋

第4章 雪原の皇子




腕を組む鬼道の周りを囲うは、雪玉を十分に準備した土門、塔子を筆頭としたメンバーだ。すでに相手チームに向けて臨戦態勢でいる。花織も苦笑しつつ雪玉を作り、構える。こうなればとことんやってやろう。

「まだまだ!負けてられるか!」
「絶対に勝ちなさい!これは理事長の命令だと思って貰って構いませんっ!!」

相手チーム、夏未のその言葉を皮切りに熾烈な雪玉の投げ合いが開始された。人数も多いことから、非常に多くの雪玉が宙を飛び交う。花織も負けじと雪玉を投げる。雪合戦と呼ぶに相応しい戦いだ。当てて当たってと激しすぎる。

やはり白恋のメンバーは手練れというのだろうか、躱すのも上手ければ、投げるのも上手い。花織は自分のボールコントロールの無さに苦笑いしながら背を屈めた。そして鬼道、土門の足元で雪玉生成に精を出すことに決めた。こうしていればあまり雪玉は当たらないし、かつ時々雪玉を投げることで奇襲を掛けられる。

「疾風スノーボール!!」
「ツインスノーボール!!」

相手チーム、風丸が必殺技名を叫びながら雪玉を投げる。それに続いて鬼道と土門も必殺技名を叫びながら雪玉を投げる。花織はくす、と思わず笑ってしまった。いつもは大人びている彼らもそんな中学生らしい振る舞いをするのか、何となくそれが微笑ましい。

花織は雪玉を投げながら彼の様子を観察する、そして首を傾げた。彼は鬼道を狙っているのだろうか。鬼道を狙った雪玉が一番多い気がする。逆に鬼道も風丸への投球が一番多いようだ。彼らが互いに正面に立っているせいもあるだろうが。

それにしてもこんなふうにチームメイトと遊ぶのは何て楽しいのだろうか。花織は周りを見回しながら、そんなことを思う。この間の催しもそうだったが、練習ばかりじゃなくてこんなふうに遊べる場所がなければ、みんな疲れてしまう。

彼も……、ここの所どうしてか思いつめたような様子の彼も今はとても楽しそうだ。花織はそれだけで嬉しい。頬を掠める雪玉など気にならないほどそれだけがただ嬉しい。だからこそ自分も今この状況を十分に楽しみたい。

「マントはセーフだ!」

ひらりと雪玉を交わしながら花織の隣に立つ鬼道が言う。彼らしくないその言葉に花織は思わず吹き出してしまった。
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