• テキストサイズ

嫉恋

第4章 雪原の皇子




いったいどんな人物だろう、花織は今まであまり想像もしなかったが今になって想像を膨らませる。やはり、厳つい大男だろうか?それとも筋肉質のレスラータイプ……?思い浮かぶのはとにかく巨体の男ばかりだ。

「早く早く!どこに行ってたの?お客さんが来てるんだよ!」
「お客さん?」

ふんわりとした、大男には似つかわしくない穏やかな声が響いた。えっ、と雷門イレブン全員が驚き声を上げる。聞いたことのある声だった。驚愕する中に姿を現したのは、先ほど遭難していた少年その人だった。

「あれ、君たち」
「さっきの……、吹雪士郎ってお前だったのか!?」

円堂が思わず問いかける。少年……、吹雪士郎は穏やかな微笑を浮かべて頷いた。

「お前が熊殺しか!?」

染岡が吃驚を隠しきれないといった表情で大声を上げる。他の皆も彼が口にしたと問いをそのまま尋ねたかったことだろう。何せ、目の前に立つ吹雪士郎は今まで想像してきたイメージとはかけ離れている。

「ああ……、実物見てがっかりさせちゃったかな。噂を聞いてきた人たちは僕を大男だと思っちゃうみたいで……」

現物の吹雪士郎はむしろ小柄な少年だった。背丈は150センチ程度……、花織よりも背は低いかもしれない。灰色に近い銀髪は左右にはねている。太い眉と垂れ目が特徴的な可愛らしい顔立ちだ。……きっと女受けは良い方だろう。首にはふわふわで温かそうな白いマフラーを巻いている。

「これが本当の吹雪士郎なんだ、よろしく」

吹雪が柔らかく笑みながら言葉を掛けた染岡へ手を差し出した。だが染岡はフン、とそっぽを向き教室を出て行ってしまった。吹雪をチームへ勧誘することをまだ良しとしていないのだろう。円堂が引き留めようと彼を呼んだが、彼は振り返りもしなかった。秋が円堂に自分にまかせるようにいい染岡の後を追う。

「あれ、なんか怒らせちゃったかな……?」

そんな意図など全く知らない吹雪は不思議そうな顔をしながら差し出した手を引く。

「ごめん。染岡は本当は良い奴なんだ」
「気にしないで」

とても穏やかでのんびりとした人なのだろうか。染岡の無礼にも何も動じていない。この人が伝説のストライカー……、花織は釈然としない思いを感じながら首を傾げる。ふと、穏やかに微笑を浮かべる吹雪と目が合った。
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp