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嫉恋

第3章 一つの決着




「鬼道さん……」
「眠れないのか?」

別にそういうわけではなかったが、花織は肯定とも否定とも取られない程度に微笑んだ。鬼道に花織が真夜中に練習を企てていたことを知られると多分怒られてしまうだろうと踏んだのだ。だから誤魔化すような言葉を口にする。そういえば鬼道に初めて会った時も、適当なことを言ってその場を誤魔化したのだったか……。

「急に目が覚めてしまって……。だから少し星でも見ようかと思ったんです。……鬼道さんは?」
「壁山の鼾が煩くてな。……隣、いいか?」

鬼道が花織の正面に回って問いかければ、花織はもちろんと鬼道に頷いた。彼はきちんとマントを整えてベンチに掛ける。花織との距離はさほど開けなかった。何となく、帝国に居た時のことを思いだす。秘密の場所で、こんなふうに座ってよく話をした。どうして今、これほど鬼道との思い出を思い返すのだろう。

「……鬼道さんにお聞きしたいことがあります」
「何だ?」
「鬼道さんは、監督をどう思っていらっしゃいますか?」

昨日、本当は鬼道に問い掛けたかったことだ。どうして監督の肩を持とうとするのか、花織には理解できなかったからだ。鬼道は少し考える様子で黙り込むと、花織の問いかけに答える。

「そうだな……。正直なところ、まだ俺にもよくわからない。だが、きちんとした考えを持っているんだとは思うぞ。でなければ、あんな一見考えなしの作戦を決行できるわけがない」
「……私には、監督はあまり才がある方だとは思えません。確かに豪炎寺くんの離脱も、今までの作戦も何らかの考えがあるのかもしれませんが、何も説明しないというのが私としては理解できません。あれでは憎まれ役を買って出ているではなく、ただの説明不足の大人にしかなりえないと思います」
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