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嫉恋

第3章 一つの決着




春奈の声は全体的に抑えられていたものの、話の後半になるにつれて段々と通常通りになりつつあった。そして花織もそれに気が付いていなかった。だから幸か不幸かこの話を聞いてしまった者が数名いるのだ。

「……」

まず一人目は花織の初恋の人であり、春奈の兄の鬼道有人である。彼は結構頻繁に彼女の声にアンテナを張っていることが多い。そして今回は自分の妹春奈と想い人花織の二人きりの女子トークだ。これを聞かずにいられるだろうか。

彼は微塵にも態度にはそれを露わにしなかったが、ただ無表情になって湯の中に座り込んでいた。だが、心は放心状態に近かった。中学生には刺激が強すぎる話だったのだろう、ゴーグルの曇りを拭おうともしない。

「私、もう身体洗って上がっちゃうね。お夕飯の準備、お昼の時に遅れた分、先にやるから」
「あ、じゃあ私も」

花織と秋が立ち上がる。先ほどの話を聞いていて、湯から上がった花織の胸部に思わず視線を寄せてしまった中学生男子をどうして責められようか。中学生男子とはきっとそう言う生き物である。

花織は入湯したときと同じように足早に出口へと掛ける。やはり恥ずかしいのだ、秋を置いてバシャバシャと水をかき分け歩いていく。だが、これが良くなかった。
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