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嫉恋

第3章 一つの決着




女の子特有の会話かもしれない。少し抵抗はあるが了解を取るだけましだろう、花織は春奈の問いに頷きながらそう思った。クラスメイトの女の子は了解を得ずに鷲掴みにしたりするからだ。

春奈が花織の背に回り、花織を抱え込むようにして後ろから優しい力で胸に触れる。柔らかい感触に触れて春奈はまず驚愕の声を挙げた。

「ちょ、大きくないですか!?」
「春奈ちゃん声!!」

予想外に大きな声が出た。だが周りの人間は自分たちの話に夢中だったようで、花織は思わず安堵の息を漏らす。春奈はすみません、と謝りつつ花織の正面に回ると小声で、だが少し興奮した様子で花織に話した。

「先輩!どうしてこんな武器を隠してるんですか!?これがあれば風丸先輩もお兄ちゃんも誰でも悩殺できるのに!」
「の、悩殺って……」

花織が春奈の剣幕に押され苦笑を漏らしながら、目をそらす。

「だってこんなの、走るときに邪魔でしょう?……そりゃあ、女の子としては少しくらい欲しいけど……。こんなにあったら速く走れないから。無いほうがよかったって思うくらい」
「あー……」

納得した様子で春奈が声を挙げる。そして思った、これも風丸の為なのだろうなと。花織が速く走りたいと願う理由は今となっては彼の隣に立ちたいからという理由以外に推測の余地はない。

「そうですよねえ……。私、花織先輩の気持ち全然考えてなかったです。でも大丈夫ですよ!先輩綺麗ですし、風丸先輩はともかくとしてお兄ちゃんはとっくにメロメロなんで!」
「……フォロー、ありがとう。春奈ちゃん」

あんまりフォローになってないなと思いながら花織はあはは、と笑ってみせる。この話はこれで集結しそうなので彼女はホッと胸をなで下ろしていた。……だがしかし、心穏やかではないのがこの話をたまたま小耳に挟んでしまった彼らである。
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