第3章 一つの決着
花織がこの違和感を感じ始めたのは雷門に転校してきたころだった。そしてそれが明確となったのは全国大会に入った頃だったろうか。走ると胸が揺れて痛い、花織の小柄な身体には大きすぎるほど彼女のバストは成長していた。
陸上をしており元々筋肉質で細身の身体だったため、彼女の気にしている部分はやはり目立つ。加えてこのごろは練習量が減ったからか、身体自体も丸みを帯びてきた。……実際はそれも第二次性徴のひとつではあるが。
そして彼女がこれを何より疎むのは陸上において邪魔にしかならないからだ。大きい胸は走りを妨げる、彼女が以前これ以上のスピードアップは見込めないだろうといった原因の大部分はこのせいだったのである。
あとは単純に視線が気になるからだろうか、思春期に入った中学生なのだから裸を、特に胸を見せるというのはとても気になる。今日までは、スポブラや胸を小さく見せる下着なんてものまであるからそれらを駆使して切り抜けてきた。水泳の授業も男女別だったから問題はなかった。だが、今日は何も花織の防壁になってくれるものはない。
花織は中学生にしては進んだ恋愛をしているからこそこれが気になった。彼に胸だけでなく、自分の裸体に近いものを見せると言う行為が死ぬほど恥ずかしかった。
「……」
大丈夫、彼らはサッカー少年。きっと何も気にしてはいない、同性の秋たちだってそうだったのだから。
花織は自分にそう言い聞かせて下着のホックをはずす。するととたんに胸部に開放感とともに重さが戻ってきた。花織は手早く夏未が準備してくれていた水着を身につける。他の皆は花織の着替えがあまりに遅いためにすでに退出してしまっている。入浴時間がなくなるのだけは困ると、花織は髪をまとめ自身の胸を押さえて脱衣所を出た。