第3章 一つの決着
***
北海道へ向かうべく、キャラバンは奈良からの道のりを進んでいる。二度もエイリア学園に負け続け、あまり順調ではない様に思える旅だが、それでも朗報があった。塔子の父、財前総理が国会議事堂の前で発見されたのだ。もちろん、ちゃんと生きている。拷問された様子もなく、心身共に健康状態は良いようだ。
その一件はよしとしよう。だが、監督への不信感はぬぐえないままだ。でなければこんな空気になっているはずがないだろう。バスに揺られているばかりでは体が鈍るからとトレーニングを提案した瞳子に対して円堂、塔子、鬼道を除いた他の選手はそっぽ向いたのだ。
ちょっとした駆け引きの末、結局選手たちは自然を相手に自主練をすることに決まった。瞳子のトレーニングメニューよりはマシだと思った結論らしい。だが、これも瞳子の策略であったことには選手たちは気づいていないようだ。
選手たちが自主トレをしている間、マネージャーたちと目金は飯盒でご飯を炊き、おにぎりを作ることになった。キャラバンにはフランス料理のフルコースも作れるようなキッチンが備え付けられている。なんでも自炊できるようにと理事長が取り付けてくれたのらしい。米を洗うという作業から夏未が米を流し台に流してしまったりといろいろあったが、今は何とかご飯を火にかけることができている。
「そういえば、花織先輩は練習に行かなくてよかったんですか?」
火元から離れてぽんぽんとボールを蹴りあげ、リフティングをしている花織に春奈が首を傾げながら問いかけた。花織はリフティングを続けながら、春奈の問いに答える。もうボールにもかなり慣れているのだろう。彼女は声を掛けられてもバランスを崩すことは無かった。