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嫉恋

第3章 一つの決着




「えっ!!パパが見つかったって!?」

それだけならばまだ良かったのだが、次に塔子は大声を上げた。その大声にキャラバン中の人間が目を覚ました。もちろん、花織も例外ではない。んん……、と声を漏らして一度鬼道の胸に顔を擦り寄せ、眠たそうに目を擦りながら花織は身体を起こした。鬼道の身体から温もりがそっと消え去る。

「ん……、もしかして鬼道さんにもたれ掛かってましたか……?」

彼女は未だ少し寝ぼけているようだ。他の皆は塔子の言葉にざわざわと話し始めているのに花織は眠たそうに伸びをしている。しかもいつものようにはっきりとした話し方ではない。春菜曰く、花織は寝起きは良いと言っていたからこの姿は珍しいのかもしれない。

「ああ、別に気にしなくていい。……気持ちよさそうに眠っていたな、花織」
「はい……。隣が鬼道さんだったから安心して眠れたみたいで……、すごく久し振りに熟眠感があります……」

そんなことは言わなくていい、と鬼道は少し顔をしかめる。寝ぼけているだけなのかもしれないが、花織はそんな台詞が勝手に人をその気にさせるということを自覚しているのだろうか。自重できる女だが、こういう言葉をすぐに口にしてしまうから花織は少し、たちが悪い。

「……すみませんでした、肩をお借りしてしまって……」

いつもは見せないような、へにゃりとしたまだ半分寝ぼけたような緩みきった笑顔を花織が見せる。鬼道はそんな花織が可笑しくて、だがやはり愛おしくて鬼道は花織の髪をそっと撫でた。

「構わない。……お前ならな」

最後の方にぽつりと呟かれた鬼道の言葉は花織には届いたのかわからなかった。未だ眠気と戦いながら素直に己に髪を撫でられる花織を見ていていると、無性に彼女を抱き寄せたいような気持ちにさせられた。だがその無謀さを胸に切なく感じながら、鬼道は優しく、ただ優しく花織に微笑みかけるのだった。
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