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嫉恋

第3章 一つの決着




まるで恋人同士のように席に掛ける、誰かがこれを見て花織と自分の関係を思い違えればいいのにと未練たらしい感情を抱く。それほどまでに彼女に対して愛と独占欲があった。花織の幸せのために身を引く覚悟があっても、いざとなると中々彼女の背中を押すことは出来ないものだなと思う。

そんな自分を浅ましいと思いつつ、だがそれこそが自分なのだと鬼道は感じていた。花織への想いを抱いたからこそ、今の自分があることは否定できない。

――――俺の想いに、お前は答えないだろう。

その宣告はいつくるやも分からなくて、その答えこそが怖くて鬼道は何も言いはしない。だが着実にその時が近づくのを感じて鬼道は切なく痛む胸の痛みを享受し続けている。この想いが叶うのならば何をも捧げることが出来る気がするのに、鬼道にはどうする術もない。

鬼道は自分の頭を彼女の頭に凭れてみる。今の時間が永遠に続けばよいのにと思った。朝が来て寄り添って眠る自分たちを見て、花織の想い人が多少なりと傷つけば俺の気も少しは晴れるのになどと、鬼道は自分の腹の中で沸き上がる女々しい感情を嗤う。花織の為を思うのならばそんなことはすべきではない。

だがもう少しだけ、少しだけと願って優しく花織の手を握った。しかし鬼道に対してこの夢は非情で、一瞬にして終わりを迎えさせた。

「……もしもし、スミス?」

ビクっと鬼道は唐突に聞こえた声に身を震わせる。女の声だ、きっと花織の隣に座っている財前塔子だろう。鬼道はすっと頭を擡げて前を見据える。本当は眠ったふりをしたままでもよかったのだが、ほとんど反射的に起きてしまった。
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