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嫉恋

第3章 一つの決着




ふたつめは新監督瞳子の采配について。

急に雷門の監督の座についた女性、吉良瞳子。実力はあるようだが、素性の知れないと言う面、指令ひとつひとつにトゲがあることなどから大多数の選手たちから賛同は得られていないようだ。殊に染岡には特にその傾向が見られる。いや、染岡だけではないかも知れない。花織も……、鬼道の想い人も明らかに瞳子の采配に対して疑問を感じているようだった。鬼道が監督の指令を何とか噛み砕いてチームに伝えているからこそ、そこまで大きな不満として表出してはいないが、監督への不信感は明らかだった。

花織があれほどまで鬼道に対して意見として、気遣いもなく一言で否定的、かつ冷え切った言葉を口にしたのは初めてのことであった。鬼道に対しては未だに礼儀を弁える花織でさえ、あれだけ冷ややかな口調でいたのだ。彼女が持つ監督への不信感はそれなりに大きいのだろう。

そして最後、それが鬼道が恋慕する相手である月島花織についてだった。

うつらうつら、鬼道が段々と眠りの世界へ引きずり込まれ始める。だが、その眠りは彼の肩に急に掛かった重みによって妨げられた。ゴーグルの中で赤い瞳が大きく見開かれる、肩に掛かった重みの原因を目でとらえて彼は息をのんだ。

「……」

鬼道は三人掛けのシートの一番窓側の席に座っている。このシートには新しく加入した塔子、花織、鬼道の順番で腰を掛けていた。鬼道は怖々と頬に触れる黒髪に左手を伸ばした。そう、眠っている花織が彼の肩にもたれ掛かったのだった。

肩、というか胸部分というのが正しいかも知れない。鬼道の首筋に頭頂が触れるか触れないかという程度で鬼道に彼女は凭れている。

どくんどくん、と鬼道の胸の鼓動は確実に速くなっている。なぜなら彼女は鬼道にとって唯一の肉親の妹と同じほど大切な人間で、彼の初恋の人だからだ。 
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