第1章 脅威の侵略者
「ああ、ありがとう。花織……」
風丸が優しげな瞳で花織を見つめる、花織も同様に風丸を見つめていた。別れてからの互いが離れていた時間なんてなかったかのように。
「…………」
「…………」
今ここで言ってしまってはダメだろうか、風丸は目を細める。解散後を待っていられない、こんなふうに笑ってくれる花織の真意を知りたい。風丸はそう思った、何せ彼は数週間前まで花織の恋人だったのだから。そしてその気持ちは別れてからも一度も潰えたことは無いのだから。
「花織……、あのさ」
「ん……?何だ、あれ?」
水を差すように呟かれた円堂の言葉に風丸も花織も振り返った。円堂は窓を見つめ、何かを凝視している。ふたりも、また円堂の声に気が付いた他の人間も窓の外へ目を向けた。
何かが宙に浮いている……、花織は目を凝らす。それはくるくると回転しながら地上へ徐々に落ちていく。いったいなんだろう、あんなものは見たことがない。花織がそんなことを思っていると刹那、まばゆい紫色の閃光が眼前に迸った。
「「…………っ!!!」」
バス内に衝撃が走った。数秒遅れて凄まじい崩壊音が耳に届く、爆発だ。選手たちはあまりの衝撃に言葉も出ず、窓の外を凝視していた。正体不明の物体が落下していた方角から煙が舞い上がる。いったい何が起こったのか、誰にも理解できなかった。