第2章 想いのすべて
やはり、エイリア学園と雷門の実力差は歴然としている。前半も中盤に来たが、花織は心からそう思った。とてもじゃないが、現状でエイリア学園に勝てる気がしない。ゴールキーパーの円堂も奴らのシュートが全く見えていないようだ。
「……!」
戦況は最悪かと思われていたその時、鬼道がジェミニストーム5番、DFのカロンへと放たれたパスをカットした。花織は蒼髪から視線を逸らして鬼道へと目を向ける。鬼道は豪炎寺にすぐさまパスを送った。敵陣DFもほとんど攻撃に上がっていた為、豪炎寺はフリーだった。
「ファイアトルネード!!」
豪炎寺が十八番の必殺技を放つ、だがそれはバーに当たってゴールとはならなかった。珍しいことだ、豪炎寺がシュートを外すなんて。花織は彼が気にかかって豪炎寺の方へと視線を向けた。険しい表情をしている。
再び鬼道がボールをカットし、今度は豪炎寺と風丸2人の名を呼んだ。炎の風見鶏だ、だがこれもゴールとはならないまま、13-0という得失点差で前半が終了してしまった。選手たちがベンチに戻ってくると、鬼道はすぐさまジェミニストームの攻撃パターンを見抜いたことを皆に説明を始めた。なるほど、彼が自分たちよりもスピードが上の宇宙人に対してボールをカットできたのはそのためらしい。
花織はそんな話を耳に挟みつつ、円陣から離れて険しい表情を浮かべている豪炎寺の元へと歩み寄った。豪炎寺はもしかして不調なのだろうか、怪我をしているのではないだろうか……、様々な可能性が花織の中で挙げられた。選手のプレーに何か問題があるのならば、ケアをするのはマネージャーの仕事だ。
「豪炎寺君」
「……、」
豪炎寺は数秒間、花織に声を掛けられたことに気が付かなかったようだ。寸刻置いて驚いた様子で花織を見る。よほど深く考え込んでいたらしい。周りの声が聞こえないほどに。
「あんまり顔色が良くないみたい……。体調、悪いの?」
「……そういうわけじゃない、ただ……」
豪炎寺は視線の先に立ちはだかる男を、花織の頭越しにみた。何もいえるわけがない、言ってもこのマネージャーにどうこうできる問題では無いだろう。豪炎寺は無理に微笑んで見せた、何でも無いというふうに。