• テキストサイズ

嫉恋

第20章 エピローグ




……まるで、安っぽい恋愛ドラマのようだ。

きっかけは思わず笑ってしまうような、そんな些細な事だった。俺は徐々にお前に興味を抱くようになった。お前を知れば知るほど、俺はお前にのめり込むようになった。誰とも接しようとしないお前が、俺の前では笑ってくれることがとても嬉しかった。そして、何時しかお前を手に入れたいと思うようになっていた。お前も、その時はきっとそれを望んでくれていただろうと今でも思う。

恐らく、あの瞬間さえ違っていれば今日は訪れなかっただろう。

止まない鐘の音に耳を傾けながら自分の過ちを思い返した。俺は、お前や春奈を守るために言ってはならない嘘をついた。その嘘はお前の心を酷く傷つけた。事情があったにせよ、本心ではなかったにせよ、今思い返したってあの言葉は辛辣だ。そのたった一度の過ちが俺とお前の間を決定的に裂いた。だが俺だってあんな言葉をお前に掛けたくなかった。それにアイツはもっとお前を傷付けるような事をしただろうに。

自称神ではなく、本当に運命を左右する神様というものがいるのだとしたら。俺はそいつをとても残酷で不公平な奴だと思う。

数か月の後、初めての帝国と雷門との試合で再開した時にはお前の隣には、もうすでにお前を支えるアイツがいた。何をしても無駄だった、お前の心はどうやったって俺の元には戻ってこない。どんな言葉を掛けても、どんなに悔やんでもお前の瞳に俺はもう映らない。

それでもいつか取り戻せると思っていた。しかしそれは叶わなかった。中学を卒業し、高校、大学、社会人と一つずつ階段を上ってもお前との縁は切れず、俺の心はお前の元に止まり続けているのに。お前の心は頑として動かない。

……あの瞬間さえなければ、今日お前の隣に立つのは俺だっただろうか。

どうしても考えずにはいられない。これだけ時間が経ってもお前を愛しているから。一体どうしてこんなにお前を愛しているのかも分からない。ただただ愛おしくて、手にしたかった。お前の微笑みに焼け付くほど焦がれてきた。十年間ずっとそう思い続けてきた。じっと掌に視線を落とす。俺の指には何も飾りはない。

「鬼道クン」
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp