第2章 想いのすべて
他の選手たちよりも少し離れたところで話してはいるが、土門が小声で花織に言う。この話を風丸に聞かれても、鬼道に聞かれても花織にとって気まずいところが多いだろうと踏んだためだ。
一之瀬も土門も完全に花織の意思を尊重するように動いている。複雑なこの関係の鍵を握るのは確実に花織だからだ。それに何よりの理由は鬼道、風丸、花織の中で最もよく話す人物はだれかと聞かれたときに真っ先に花織が上がるからだろうか。単純に、友人としてこの二人は花織が大切なのだ。
「それで、これからも花織は試合には出るつもりなのか?花織の実力なら十分に俺たちとプレーできると思うんだ」
「うーん、一之瀬。そりゃちょっと難しいんじゃないか?花織ちゃんの実力がないとは言わないが、鬼道と風丸が許さないだろう。特に、エイリア学園と試合するんだとなれば……」
「ああ、それも一理あるな」
花織は微苦笑を漏らす。花織もできれば彼らと共に戦えればと思う。だが、自分の今の実力では絶対にエイリア学園と戦うには不足であるし、何より土門の言うとおり風丸はともかく、先ほどの様子から鬼道は黙っていそうにない。先ほどはエイリア学園との試合でないからという理由で許してくれたようなものだ。
「月島さん」
雑談を続ける三人の背後から唐突に声が掛けられる。声の主を各々が振り返ってみると、それは瞳子監督だった。いつものように腕を組み、無表情に花織を見下ろしている。
「何でしょうか?」
「……貴女、マネージャーなのよね?」