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嫉恋

第18章 風を愛する者へ




花織はそう言って風丸の両肩に手を掛け、彼の右肩に自分の顔を伏せた。風丸は大きく目を見開いて花織の身体を受け止める。花織は風丸の普段通りの雰囲気に安堵していた。いつもの風丸だ。もう髪型もいつも通りに直して、雷門のジャージを身に纏っている。正直ダークエンペラーズのユニフォームで、ここに彼が現れたらどうしようかと思ったが……。

花織は喜びを噛みしめる。風丸が戻ってきてくれた、それだけでいいのだ。

「私……、転校してきてからずっと一郎太くんの傍にいたのに、一郎太くんの悩みに全然気づけなかったから。それに一郎太くんを追い詰めてしまった要因は私にもあると思う」

花織は風丸の肩に顔を寄せたまま囁く。ダークエンペラーズとして花織の前に現れた時も頻りに彼が言っていたのは花織を守る力を手に入れた、そして花織に見合う力を手に入れたという言葉たちだ。それが花織の言葉の根拠となる。やはり、彼がエイリア石に手を出してしまったのは花織も要因のうちだと言えるだろう。

「だが俺は、……してはいけないことをした。誰にも負けない力を、速さを欲する余り、お前を傷つけてエイリア石にも手を出してしまった……」
「一郎太くん」

悔やむような表情を浮かべ風丸が顔を逸らす。花織はそっと顔を上げ、風丸の頬に自らの右手を添えた。じんわりと涙で潤む瞳で風丸を見つめている。その表情には風丸を責めるような感情は一つも混じっていない。

「……ちゃんと戻ってきてくれた、私はそれだけで十分だから」

そんな瞳で見つめられるだけで風丸の心は締め付けられるようだった。どうしてこの瞳を今まで無視できたのだろう。今の風丸には分かる、他の誰も関係なく自分をひたすらに愛し、想ってくれている黒い瞳。その瞳で花織は今も風丸を見据えている。かつてはその瞳が欲しくてずっと悩んでいた、この瞳をどうして放って置けたのだろうと風丸は思う。

「でも、一つだけはっきりしておかないといけないことがあると思ったの」

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