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嫉恋

第18章 風を愛する者へ




「だから、今みたいに努力してきた仲間を嘲り笑って、簡単に努力を否定してしまう一郎太くんは嫌い。……大っ嫌いよ」
「……っ」

風丸の瞳が大きく見開かれた。風丸は今自分の心が明らかに揺らいでいるのを感じていた。エイリア石で得た力を持てば自分は無敵だと思っていた。強さこそがすべてであると。段々と自分が間違っているのではないかというような感覚になってくる。

「俺は……」

俺は強くなりたかった。でもそれは何のためだったのだろう。宇宙人の侵略を阻止するため、すなわち仲間や家族を守るためだ。目の前にいる、自分を見つめて涙を流す花織を守るため。しかしそれは名目でしかない。

単純に、誰よりも速く在りたかった。円堂の様な強い人間でいたかった。劣っている自分が悔しかった。

でもそれは花織を、仲間を傷つけてまで得たかったものなのだろうか。

「一郎太くん」

花織が彼の名を呼び、静かに風丸の左手を取った。彼女はそれをぎゅっと両の手で胸元に抱きしめ風丸を見つめる。意志の強い、自分を大切に思ってくれているのだとわかる黒い瞳。

「お願い、……目を覚まして」
「……花織」

きらりと彼女の胸元に飾られたペンダントが煌めく。それは紛れもなく、他でもない風丸自身が花織へ贈ったものだ。彼女は自分を信じ、ずっと風丸を待っていてくれたのに。

風丸が花織に右手を伸ばそうとする。だがその間に顔を顰めた研崎が割り入って花織を突き飛ばした。

「きゃっ!」

花織は思わずその場に尻餅をつく。その際に風丸の手を離してしまった。風丸は花織に手を伸ばそうとしたが研崎に止められる。
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