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嫉恋

第2章 想いのすべて




風丸が再び驚いてフィールドに視線を向ける。似ているのだろうか、花織と。こればかりでは本人同士ではわからない。だが、他のメンバーは壁山の言葉に共感できるようだ。

「言われてみれば……、似てるかもな」
「ホント……、さっき気になってたのはこれだったんだ」

ベンチ内で納得の声が上がる。それはフィールドに立つ選手たちも同様だった。鬼道有人は、ちらりと想い人である花織の背中を見て、やはりという気持ちが広がっていくのを感じていた。気が付いていた、花織のプレーが風丸のプレーと被ることに。それはある意味、鬼道にとって宣告であった。

瞳子監督の作戦の意図を読み解き、ようやく試合運びが安定してきたかと思えばこれだ。鬼道は表には露ほどにもそんな様子は見せなかったが、胸の内では複雑な気持ちが渦巻いていた。だが、今は試合に集中しなければならない。鬼道は相手チームの守備の穴を見つけ、ボールの行方を追う。

「花織ちゃん!」
「はいっ」

土門から送られたパスを花織が受け取る。ボールを持っていてもいなくとも、彼女の走るスピードはほとんど変わらない。きっと花織も相当の練習を積んでいるのだろう、鬼道はそんなことを思い、何とか胸の内で渦巻く気持ちを押さえつける。

「……っ、花織こっちだ!」
「鬼道さん!」

ボールを受け取りながら酷く複雑な気分に鬼道は見舞われる。本当にそっくりなのだ、花織と風丸のプレーは。彼女の動きを目の端で捕え、花織の恋人だった男の名を呼びかけそうになるなど、鬼道にとってそれは恋戦の敗北と取れるものだった。
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