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嫉恋

第2章 想いのすべて




秋の言葉をすべて信用するわけではない。だが、そうであればいいなと風丸は思う。秋の言う言葉がすべて真実であれば、どれだけ嬉しいだろう。

風丸は花織のプレーを見ながら目を細める。花織のプレーは自分の思考と合致する、だから見ていて爽快だった。スライディングのタイミングも、パスのタイミングも自分が思うとおりに花織が動いている。俺だったらこのタイミングで、風丸が己の必殺技を胸の中で呟いた時だった。

「疾風ダッシュ!!」

叫ぶ言葉と共に、結われた髪が揺れる。その姿は初めて花織が陸上のトラックを走るのを見た時……、その光景を蘇らせた。

「「!!」」
「「え!!」」

ピッチ内の雷門勢、ベンチ内のメンバーそれぞれに衝撃が走った。そして彼らはようやく花織のプレーに感じていた妙な感覚を理解する。花織のプレーはそっくりなのだ、どこをとっても風丸一郎太のプレーそのものだったのだ。

「花織先輩が、疾風ダッシュを!?」
「おい風丸!?月島って疾風ダッシュ使えたのかよ!?」

驚いたらしい染岡が思わず風丸に詰め寄る。だが、風丸自身も酷く驚いていた。花織は自分の前ではあの技を使ったことは無かったからだ。彼女があの技をできるのだとは知らなかった、だがおかしなことではなかった。

「……疾風ダッシュは花織と一緒に練習した技だ。花織が使えてもおかしくはない」
「それにしても……風丸先輩、月島先輩によっぽど好かれてるんっスね。月島先輩、風丸先輩の動きにそっくりッス」
「え……?」
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