第18章 風を愛する者へ
風丸はそういってエイリア石を胸元に落とした。そして花織を見つめながら妖艶に微笑む。
「俺たちはこれから雷門イレブンに勝負を挑む。俺たちの力を証明してみせる。……お前の傍にいるに相応しいのは誰か証明するんだ」
「……っ。やめてよ!そんなことをして、いったい何になるの?エイリア石の力に頼ったって、そんなの何にもならないよ。……そこまでして得た強さで守られたって、私は嬉しくない」
花織は風丸のマントを掴み訴えかけるように言ったが、風丸は花織の言葉に呆れた様にため息をついた。花織、と彼女の名を呼んで花織の頬を撫でる。彼の瞳は花織を見つめていたが、その中にも静かな狂気が存在しているように感じられた。
「それはお前がエイリア石の素晴らしさを知らないから言えることだ。……俺の強さを見れば花織も考えを改めるさ。花織だって誰よりも速くフィールドを支配できる俺が好きだろ?」
「……一郎太くん」
違う、とは言い切れない。彼が試合をする中で彼のスピードで相手を圧倒する姿を見るのは花織の楽しみだ。でも根本的に違う。風丸の足が速いから風丸を好きになったわけではない。花織はそれを風丸に諭そうとする、だがその前に気が付いてしまった。風丸はさっきなんて言った?"俺たち"はこれから雷門イレブンに勝負を挑む。……俺"たち"?
「……ちょっと待って一郎太くん、俺たちって……」
「直にわかるさ」
その時花織の首元にびりっとした感覚が走る。その衝撃で花織の視界は揺らいだ。全身の力が抜け、ふっと意識がなくなるのを感じながら風丸の方へと花織の身体は倒れていく。風丸は花織の身体をしっかりと受け止めると花織の耳元に囁き掛けた。
「その言葉の意味も、俺の強さも。……分からせてやる」
風丸は強く花織の身体を抱き寄せる。優しく、愛おしげに。