第18章 風を愛する者へ
円堂に風丸から連絡があったことを伝え、花織は一足先に雷門中学へと戻った。円堂は花織の説明に対して、自分たちは後から行くからすぐに行ってこいと言ってくれた。結果的にふたりきりにしてくれたのは円堂が図ってか図らずかはわからないが。
雷門中はもう立て直し工事が終わり、すっかり校舎は元通りになっている。花織は校舎を眺めるでもなく部室へ向かって駆ける。はやる気持ちを抑えながら花織はきっと同じように元通りになっているであろう部室へと急ぐ。やっと彼に会える。花織は勢いよく部室の扉を開く、鍵はかかっていなかった。
「……っ」
中で待っていてくれる彼の姿を見つけて、思わず目頭が熱くなった。言いたいことが一杯あったはずなのに言葉が出てこない。青い髪、茶色の瞳、頼もしい笑顔。ぎゅっと胸が締め付けられるような感覚。幻覚ではなく間違いなく彼がここに居る。ずっと会いたかった、戻ってきてくれることを誰よりも待ち望んでいた。
「花織……」
風丸が微笑んで花織に対して軽く手を広げる。花織は彼の腕の中へと飛び込んだ。強く強く花織を押しつぶしてしまうのではないかというほどの力で風丸が花織を抱きしめる。花織は変わらない彼の匂いと優しい瞳に安堵した。
……変わらない?
「一郎太くん……?」
風丸の胸に手をついて風丸の顔を見ようと少し風丸から上体を離す。先ほどは夢中で分からなかったが、どうしてこんな妙な黒いローブを着ているのだろうか。それに、何か違う。いつもの風丸と、何が違うかは分からないが何か決定的に違うものがある。