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嫉恋

第18章 風を愛する者へ




「……一郎太くん」

花織が呟いた名前に隣に居た豪炎寺や吹雪、その周囲の人間が反応した。花織は携帯を持ち直して彼の声に耳を澄ませる。

「今どこにいるんだ?」
「まだキャラバンの中……。あともう5分くらいで稲妻町に戻るよ」

花織が窓から見える道路の標識を見ながら風丸の問いに答えた。彼はそうか、と返答して一呼吸置く。そして静かに花織に花織に語りかけた。

「花織とふたりきりで会いたい。サッカー部の部室で待ってる」
「あ……っ」

風丸はそれだけ言うと通話を切ってしまった。ツーツーという携帯の通話が切れてしまった音が花織の耳に届く。花織は携帯を閉じて静かに彼の言葉を反芻した。二人きりで会いたい、サッカー部の部室で待ってる。

……半田くんたちには悪いが、先に彼に会いに行こう。

花織はぎゅっと携帯を握り締める。今は彼を優先させたい、というよりも花織が風丸に会いたいという気持ちが強かった。幸いにも稲妻総合病院から学校まではすぐであるから歩いて学校まで戻れるだろう。

やっと一郎太君に会えるんだ……。

花織は喜びに綻ぶ口元をぎゅっと結んで堪えた。早く到着してほしい、その一心で。
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