第17章 悲しみの結末
「花織さん、これ……」
「暑い沖縄でもずっと着けてた大切な物でしょう?拾っておいたんだ」
それは吹雪のマフラーだった。白いふわふわのマフラー。ジェネシス戦の最中、全てに気づいた吹雪はこのマフラーを取り去ることで過去に囚われていた自分を捨てた。そしてそのまま置き去りにしてきてしまったのかと思っていた。だがどうやら、試合の最中に花織が拾っていてくれたようだ。吹雪はマフラーを受け取る。そしてマフラーに視線を落とした。
「……、ありがとう。このマフラー、アツヤの形見なんだ。これがあるといつもアツヤを近くに感じられるような気がしてた」
吹雪が呟く。そう、だからこのマフラーを外すことができなかった。マフラーを取ってしまうとアツヤがどこかへ行ってしまうような気がしていた。
「でも、もう大丈夫。アツヤは僕の中に居てくれるってわかったから」
吹雪は目を伏せてそっとマフラーを抱きしめる。そしてマフラーの温もりを確認して、すぐに顔を上げた。その表情には笑顔がある。
「だから大切にしまっておくよ。もしも僕がまたダメになりそうな時、アツヤから元気をもらえるように」
吹雪はマフラーを握り締める。優しく自分を見つめてくれる花織を見て、彼は決意した。
……やっぱり言わないままにはできないね、アツヤ。
吹雪は心の中でこのマフラーの本当の持ち主に語りかける。今ここではっきりしておくべきかもしれない、このマフラーのおかげで勇気が出たのだから。
「ね、花織さん。僕、ずっと花織さんに言おうと思ってたことがあるんだ」
吹雪が唐突に話を切り替え、毅然とした表情で花織を見据える。花織は首を傾げて吹雪の言葉を待った。
「花織さん、僕は君のことが好きです。優しくて温かい君に僕は何度も助けられた。だから、これからも僕の傍にいてほしいんだ。これからもずっと」