第17章 悲しみの結末
吹雪は交代してすぐにシュートチャンスを得てエターナルブリザードを放った。しかしそれはキーパーのネロに止められてしまう。士郎の必殺技、アイスグランドもジェネシスには通用しなかった。
完璧にならなきゃいけないのに……っ。
技を破られ吹雪は呆然と立ち尽くしてしまう。ボールをトラップミスし、ラインの外へ出してしまった。その吹雪のミスに豪炎寺からボールと叱責が飛んだ。お前にはあの声が聞こえないのか、と。再び自信喪失しかけていた吹雪は泣き出しそうな目で顔を上げた。
声なんて……。
士郎はそう思う、そしてピッチにいる仲間を見た。皆が一生懸命相手のボールを奪い、ドリブルでここまで駆け抜けてきた。皆が僕に繋いでくれようとしたボール。決してピッチで戦っているのは僕一人ではない。吹雪はベンチを振り返るそこには自分を見つめ、自分のことを信じてくれている花織の姿がある。一人じゃないと自分に言い続けてくれた彼女の姿が。
それを思い、吹雪は漸く気が付いた。
僕には仲間がいる。いつでも僕の周りには仲間がいる。先日豪炎寺が河川敷で言ったことを思いだした。"俺は完璧じゃなくてもサッカーたのしいぜ"
僕自身が完璧になる必要はない。ましてや僕がアツヤになる必要はない。お父さんが言った完璧というのは仲間と一緒に戦うこと、そして一つになることなんだ……!!
暗闇の中に一筋の光が差した。その光は吹雪を包んで温かく光る。優しい温かい光、それは円堂を始めとするチームの皆だ。
(そうだ、兄貴はもう一人じゃない)
頭の中にアツヤの声が響く。吹雪は瞬間的に悟った。……僕の中のアツヤはきっとそれに気づいていたんだ。彼は宙を舞うボールを見上げ、地面を蹴った。心の中には温かく柔らかなものが満たされているような感覚がある。彼はやっと見えた真実を心の中で反芻する。
僕が気づけなかったから心配でどこにも行けなかったんだね。
……君は本当はとても優しいから。
でも君はここに居る。
アツヤを感じることができなくたって心の中に居る。
吹雪はマフラーに手を掛ける。大丈夫だよ、アツヤ。僕は仲間と一緒に完璧を目指す。その思いを胸に彼はマフラーを宙に放った。