• テキストサイズ

嫉恋

第17章 悲しみの結末




一体今のは何だったのか、その一連の行動の真意を聞こうと花織がヒロトを呼ぶ。だが次に顔を上げたヒロトは今まで見たことがないほど花織に対して冷たい表情をしていた。ヒロトは花織を見据えて静かに、先ほどよりも低い声で言葉を放った。

「俺はジェネシスのグラン。……基山ヒロトじゃない」

ぞく、と花織はヒロトと初めて出会った時に感じた得体のしれない恐怖の様なものを感じる。今のヒロトは最近自分に会いに来て、何となく慰めの言葉を呟いていく彼ではないと思った。ヒロトはじっと花織に冷めた目を向けながら続けた。

「これから世界中が変わる、凄いことが始まる。……人間が変わるのさ、人間の歴史がね」
「……ヒロトさん、いったい何を」

花織が困惑した様にヒロトを呼ぶ。ヒロトの言葉の意味が分からない。それにヒロトにもいっぱい聞きたいことがある。花織はヒロトにきちんとした説明を求めたかった。だが彼は花織が呼んだヒロトという名に、彼は険しく顔を顰めた。

「俺はエイリア学園ザ・ジェネシスのキャプテングラン。……基山ヒロトの名前でサッカーはしない」

まるで自分に言い聞かせているような言葉だ、花織は彼の言葉をそんなふうに感じた。ヒロトはそう言いながら踵を返す。そしてベランダの柵に手を掛け、ちらと花織を振り返った。

「それじゃあ明日、待っているよ。……雷門イレブンのマネージャーさん」

その言葉を言い終わると同時にヒロトはベランダの柵を乗り越えた。花織は急いでヒロトがいた場所へと駆け、階下を覗き込む。だが彼の姿はどこにも無く、ただ夜の静かな住宅街の景色だけが広がっていた。
/ 433ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp