第17章 悲しみの結末
花織は一之瀬を振り返る。一之瀬は暗い表情をして、静かに語り始めた。彼も花織と同じで恐らくもともと監督に不満を持っていた。だが一之瀬は今まで監督の真意を汲もうと何も大きく意見を言うことは無かった。
「俺だって今度の戦いには疑問が一杯あった。……それでもついてきたのは、エイリア学園の攻撃で傷ついた皆の想いに答えたかったからだ。今日のカオス戦だってアフロディが倒れている。でも監督にはみんなの想いなんて何にも届いていない」
苦しげに一之瀬が言葉を吐き出す。いい加減監督の態度には我慢ならないといわんばかりだ。それに続いて土門もいらだった様子で手を挙げる。
「俺も一之瀬と同じだぜ、もう我慢の限界だ。……鬼道はどうよ?」
ちらと土門が鬼道に意見を求めた。鬼道は毅然とした様子で土門を見上げる。
「どっちに転ぶにしても判断材料が少なすぎる」
「らしい答えだよ」
ふん、と土門はいつでも理性的な鬼道に対して笑った。鬼道だって監督の行動には疑問を感じているだろう、でもそれを現状で判断しないのが鬼道だ。そんな彼の意見はいつも頼もしいが、今の土門らにとってはいい子の答えであるように聞こえる。
「迷うことなんかない。エイリア学園のすべてが分かるんだぜ、行くしかないだろ!」
円堂の意見はこうだった。監督が勝つことに拘ってチームを引っ張ってきた理由が分かるのなら行くことを渋る理由はないだろう。ということだった。だがこの意見に対して鬼道が一晩悩むことを提案した。皆には考える時間が必要だと言った。
チームは揺れていた。行くと断言できる人間、監督に疑問を持つ人間、そして監督はとても信用ならない、チームを降りるという人間。皆それぞれに考えがある。答えは明日、明日になれば恐らくすべてに決着がつくだろう。