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嫉恋

第2章 想いのすべて




チーム内にいろんな意味で波紋が広がる。それはベンチでも同じだった。

「木野先輩、花織先輩カッコいいですね!他の選手に全然見劣りしませんよ」
「本当に。……でも、あのプレーどこかでみたことあるような」

初めてチームに入ったとは思えないようなプレーを魅せる花織に感心したように秋と春奈が零した。二人とも花織が元々陸上部で日々練習を重ねていたことは重々知っているつもりだったが、まさかみんなと渡り合えるほどだとは思っていなかったようだ。

「自分からチームに入りたいというだけのことはあるわね、月島さん。でも、彼女……、木野さんの言うとおり何だか凄く既視感のあるプレーをするのよね」
「何なんだろう、良くわからないけど……」

不思議そうな表情で秋と夏未が花織のプレーを眺めている。そんなマネージャーたちの傍で、風丸はただひたすらに、髪を靡かせてフィールドを駆ける花織をじっと見つめていた。花織、以前より速くなってるみたいだ。やはり感覚的にだが、彼も花織の変化を敏感に察している。

「花織、パス!」
「……っ、一之瀬くん!!」

さらりと髪を靡かせて花織が一之瀬にパスを送る。慣れた動きだ、基本動作は風丸と練習をよくしていたから他の選手に見劣りしないほど身のこなしが軽い。そしてボールを相手選手から奪うスピードは風丸に匹敵する速さがあった。どうしてだろう、彼女の走る姿はあんなに綺麗なのに胸が痛むような気がした。

「クソッ、これで勝てたら漫画だぜ!!」

風丸の隣で染岡があからさまな大声を上げる。理由も告げられずに監督にベンチに下げられたことがよほど悔しいようだ。監督はそんな染岡を全く気にも留めず、マネージャーたちを呼ぶ。試合に夢中になっていた彼女たちは驚いて返事をした。

「彼らにアイシングを」
「え……?」

マネージャーたちは一瞬不可解な表情をしたが、すぐに状況を察知したようだ。どうやら瞳子監督は染岡、風丸、壁山が各々怪我を負ってたことに気が付いていたようだ。だからこそ彼らをベンチに下げ、怪我を悪化させない様にしていたのらしい。
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