第17章 悲しみの結末
ヒロトさん、普段花織はそう呼んでいるのか、自然と鬼道の眉間に皺が寄る。花織は続けた。
「でも別に特に何を話したわけではありません。初めは円堂キャプテンの話をして。……一郎太くんがいなくなってからは私を」
「お前を?」
鬼道が顔を顰めながら花織に問う。花織は俯き鬼道の問いかけに答えた。
「……私を、心配しているのだと言いました。……俺を嫌うのは構わないからこれだけは信じてほしい、そう言って」
「……」
鬼道は困ったようにため息をついた。彼女の性質、どうしてか男を寄せ付ける性質だがこれは本当にどうにかならないだろうかと思う。彼女には風丸という恋人がいるのだからいい加減落ち着いてくれてもいいだろう。彼女には風丸しか見えていないのだが、これでは風丸が嫉妬するのも無理はないといつも思ってしまう。
「でも今回のことはジェネシスの差し金ではないと思います。グランは以前言ってました、サッカー以外で私たちに何をする気もないと」
「……まあ、俺もそう思うが」
もしもジェネシスやヒロトの企みであるなら、おそらく花織を攫う機会はいくらでもあったはずだ。それほど何度もヒロトと密会しているのであれば。それにしてももう少し花織には警戒心という物が欲しいと思う。
「とにかく、エイリアを倒すまでは絶対に一人になるんじゃないぞ。……今日は俺が家まで送る」
鬼道は花織を庇いながら路地をでる。前回の事件よりは落ち着いている花織の様子を見ながら鬼道は思う。風丸のいない今、お前を守れるのは俺だけだ。俺がどんなときでもお前を守ってやる、と。
「……鬼道さん」
「なんだ?」
「守ってくださってありがとうございます」
花織は柔らかく微笑んだ。鬼道はいつも花織に言ってくれる、お前はどんな時でも俺が守ると。花織に想いを告げるたびに何度だって彼はそう言った。それを有言実行してくれた鬼道はやはり頼もしいと思う。……ただ少し、少しだけ寂しいと思ってしまったのは、花織が心から助けを求めていたのは風丸だったからかもしれない。