第17章 悲しみの結末
リカが心配そうに花織の顔を覗きこめば、花織は俯いて静かに首を横に振った。花織が注文したミルクティーからゆらゆらと湯気が立ち上っている。会うどころか、連絡すら取れないのだ。リカはそんな花織を見つめて眉を顰めた。風丸の事情は知らないが、どうしてこんなに悲しそうな顔をする恋人を放ってどこかにいけるのか。風丸だって花織が好きで好きで堪らないことは付き合いの浅いリカにだって分かるのに。
「こないに花織が心配しとるんやから電話ぐらいせえっちゅうのにな。……戻ってきたらウチがガツンと言ったるで」
リカがこぶしを顔の前に出してぎゅっと握りしめる。リカが前に風丸と話した時、彼は確かにこういった。"花織のことは俺が離さないから"と。どんな理由があってもその言葉を破って花織を不安にさせている風丸は女心的に許せない。だが怒りに燃えるリカを見つめている花織の表情は穏やかだった。
「大丈夫だよ、ちゃんと自分で言うから。……リカちゃん」
「ん?」
花織はリカに微笑みかける。花織はリカが自分を心配してここに来て話をしようとしてくれたことを悟っていた。いつも明るくて優しいリカと一緒に居ると、心の底から勇気で満たされるような気がした。
「ありがとう、心配してくれて」
「何言うとるん、ウチら友達やもん!当たり前やろ!」
ばん、とリカが胸を叩いて声を張った。そしてすぐに店内で声を張りすぎて注目を浴びてしまったことを気にするそぶりをみせる。花織は短い付き合いの自分をこんなに心配して、堂々と友達だと宣言してくれるリカの存在を頼もしく感じた。自分は恋人だけではなく、仲間や友人にも恵まれている。
「せやから、ちゃんとダブルデートの約束も忘れんといてな!風丸が戻ってきたらすぐに行くで!」
びしっとリカが花織に指を差す。花織は風丸が戻ってくることを前提として話をしてくれるリカの言葉を嬉しく思いながら、笑顔で首を縦に振るのだった。