第17章 悲しみの結末
数十分後、二人は稲妻町ではそこそこお洒落なカフェで女子トークを繰り広げていた。初めは日頃の愚痴、一之瀬の魅力についてなどリカが話題を提供する形で対話は進んでいた。
「アレは傑作やったわ!鬼道も全く気付かんかったしな」
「ふふふっ。でも本当に木暮君っていろんな意味で度胸があるよね。……そういうところは尊敬しちゃうかも」
くすくす、と花織が思い出し笑いをしながら言う。彼女たちは今、今日の練習の終わりに木暮が鬼道のマントに悪戯をしていた、という話で盛り上がっていた。それはチームにとっても、花織にとっても衝撃的な出来事であったため、花織は思い出すと思わず笑ってしまう。そんな笑みを零している花織をみつめて、リカは安心した様に笑った。
「……ちゃんと笑えとるんやな」
「え?」
花織がリカの言葉にきょとんとする。リカはカフェラテの入ったカップを持ち、一口飲む。そしてせや、と花織の言葉に反応した。そして花織の驚いたような表情を見て笑って見せる。
「ウチ、ずっと心配やったんや。花織が無理して笑ろうとるんやないかって。……さっきも風丸の所に行った帰りやったんやろ?」
リカがちらりと花織がテーブルの上に置いている携帯電話に視線を落とした。リカと花織はナニワの地下で話をして以来、彼女が一之瀬と一緒に居ることも多いせいか話す機会がたくさんあった。リカの目に映る、風丸と過ごす花織は羨ましいほど幸せそうだった。
でもあの日、風丸がキャラバンを去ってしまってから花織は酷く落ち込んでしまった。いつの間にか彼女は以前の通りに笑うようになったが、その表情からも風丸がいないことに対する寂しさの様なものを感じていた。花織がそれを徐々に隠すのが上手くなっている様な気がしたから、リカは花織が心配だったのだ。
自分一人で悩みを抱え込んでいるのではないか。無理に笑っているのではないだろうか、そう思うととても放ってはおけなかった。友達みんなはひとりのために、ひとりは友達みんなのために。それが彼女が所属するチーム、CCCのモットーだ。彼女の信念でもある言葉。
「風丸には会えたん?」
「……ううん、まだ」