第16章 交錯する想い
鬼道が雷門へ転校したことに花織の責任などないが、少なくとも源田たちのように考える者もいたのではないだろうか。
「花織」
鬼道が花織の肩を掴む。鬼道はじっとゴーグル越しに彼女を見つめた。
「俺は今日、この帝国にある気持ちの決着をつけに来た。世宇子へのリベンジの為、俺が雷門に転校したことをアイツらがどう感じているのか、裏切り者だと思っているのではないか。それを確かめるために」
鬼道の中でもまだ蟠りがあった。鬼道は今でも帝国の選手たちを仲間だと思っている。今日プレーしていて今でもアイコンタクトすらせずとも彼らと連携が取れることに自分の居場所がここであったことを実感した。その上で雷門へ自分が打倒世宇子の為に転校したことを彼らがどう思っているのか、ずっと気にしていた。
その悩みは今日、真帝国学園で鬼道を糾弾した佐久間の言葉によって解決した。鬼道は雷門にいる方が自分を出せている。誰もお前を裏切り者なんて思ってやしない。その時に帝国の皆が見せてくれた笑顔。自分をまだ仲間だと思ってくれているその言葉無き表現に、鬼道はこれから続くエイリア学園への戦いに対する決意を新たにさせた。
「皆、わかってくれていた。……俺が雷門でサッカーをすることを。花織、あの時のことを気にするな。誰もお前のことをそんなふうに思ってるわけないだろう」
「……そうでしょうか?」
花織は不安そうな面持ちで鬼道を見つめる。鬼道はああ、と頼もしく笑って花織の手を取った。力強く花織を引っ張りながらにやりと笑う。その微笑は帝国にいたころの彼を彷彿とさせた。
「証明しよう。……大丈夫、俺が付いている」
「……ふふ」
花織は思わず笑いを零す。鬼道のこういう男らしくて、自分を引っ張ってくれるところは今でも頼もしいと思う。帝国にいたころ控えめだった花織はこんなふうにこんなふうにチームを引っ張っている彼の姿が好きだった。
「お、鬼道がお気に入りを連れてるぜ!」
二人で帝国側のベンチへ降りていくと帝国の寺門が2人を指差して声を上げた。そうすると周りのメンバーがヒューヒューと言わんばかりに声を上げる。花織は驚いた、そもそも鬼道が花織に特別な想いを持っていること自体がチームにとって公認の事実だったのか。