第16章 交錯する想い
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雷門中から歩いて数十分、花織が住んでいる場所からは結構遠い住宅街へとふたりはやってきた。何でも円堂の自宅もこの辺にあって、風丸とはご近所なのらしい。だからこそ二人は幼い頃から仲が良く、彼は円堂の相談相手となっていたのだという。
「いないのかなあ、風丸」
彼の家に辿り着いてもう三度目の呼び鈴を押した。学校は現在ああなっているせいで休校であるし、いるならば家だと思ったのだが誰も出てこない。円堂曰く彼の両親は共働きだから夜しか家にいないそうだ。花織は一度彼の携帯電話に電話をかけてみる、やはり電話には出てくれなかった。
「……今日はもう戻りましょうか。私、また明日来てみます。今日は一緒に来てくださってありがとうございました」
円堂に礼を言い、花織は名残惜しそうに彼の家を見つめていた。声からは明らかに落胆の色が見えている。携帯電話を寂しげに見つめ、鞄の中に仕舞った。円堂はそんな花織を見て、勢いよく花織の肩を叩いた。
「元気出せって!今日はタイミングが合わなかっただけだって、明日はきっと会えるさ!」
「キャプテン……」
円堂の励ましに花織はぎこちなく微笑む。帰路に付くため、二人はどちらともなく歩き始めた。今日はもうキャラバンでの宿泊になる。また学校に戻らなければならない。花織は何も言わないで俯いている。円堂は花織を元気づけるためにバン、と背中を叩いた。
「月島は、本当に風丸のことを心配してくれてるんだな」
「……」
花織は円堂をみる。円堂は単純に自分の幼馴染を心配してくれる花織の存在をありがたいと思っていた。彼女がサッカー部に入部した時のことを思いだす。彼女は風丸の後、帝国との初試合の後に風丸と一緒にサッカー部のマネージャーになりたいと頼みに来た。サッカーの事はわからないけれど精一杯やりますと気合の入った挨拶をしてくれた。
「月島は転校してきてからずっと風丸と一緒にいたんだもんな。……なあ、月島」
「キャプテン……?」
円堂は空を見上げて呟く。彼女が入部してから、自分の幼馴染は自分の知っている幼馴染とは少し違うような感覚があったのを思い出す。正確に言うと少し違う、風丸が変わったのは花織が転校してきてからだ。