第16章 交錯する想い
花織はグラウンド整備を急いで終わらせ、身だしなみを整えると待たせている円堂の元へと向かった。円堂は花織の言った通り校門の前で待っていてくれた。花織はほっと胸を撫で下ろす。円堂のことだから何人か選手を連れているかとも思ったが、一人で待ってくれていたようだ。
「おう!月島!」
「キャプテン、お待たせしてすみません」
花織がぺこっと頭を下げる。円堂は別にいいって、と手を振って笑り、彼女に要件を尋ねた。
「でもどうしたんだ、ここで待っててくれって」
「キャプテンに頼みがあったんです」
「頼み?」
花織は頷く。東京へ戻ることが決まってからずっと円堂に頼まなければと思っていた。花織はぎゅっとシャツの中にあるペンダントを握り締める。
「一郎太くんのお家の場所、知ってますか?」
花織は心の底から風丸に会いたかった。会ってきちんと話をしたかったのだ。だから東京に戻ってきたら絶対に彼の所へ行こうと決めていた。ただそれには一つ決定的な問題があった。花織は風丸の自宅を知らないのだ。
風丸は花織の家を知っている。彼は何度も花織をそこまで送り届けたことがあり、迎えに来たこともあった。ただ花織はというと風丸の家を知らないのだ、自分の家と逆の方向にあるということは知っているがそれ以上の情報を持たなかった。その情報をくれた秋にも詳しい話を聞こうとしたが、秋も細かい住所までは知らないようだった。
「風丸の……?」
「はい!……私、彼と会って話がしたいんです。全然連絡が取れないから心配で……」
円堂はそう言って少し寂しげな表情を浮かべる花織を見た。円堂は彼女と風丸の深い関係までは知らないが、互いに好きあって一緒に居るのだということは知っていた。円堂だってチームを去ってしまった風丸のことが心配なのだから、花織だって心配に決まっているだろうと思った。
「わかった。じゃあ今から一緒に行くか!俺もアイツと話がしたいしな!」
「ありがとうございます……!キャプテン!」
円堂はどんと胸を叩いて頼もしく言った。花織はその答えに表情を綻ばせる。風丸に会えるかもしれない。そう思うとやはり無性に嬉しさがこみ上げて、心臓が高鳴っていくのを感じた。