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嫉恋

第16章 交錯する想い




きっと花織はこんな自分に呆れているだろうと思った。その時、吹雪のマフラーを握る手にそっと温かい手が添えられた。吹雪は目を見開く。目の前には膝をつき、吹雪の手を握って彼を見上げている花織の姿があった。

「……だって、仲間だから」

花織は吹雪に微笑み、吹雪の頬に右手を添えた。吹雪は大きく目を見開く。花織の手は温かで優しかった。花織は吹雪の目を見つめながら静かに吹雪に語りかける。

「確かに士郎くんの言うとおりだよ。私は士郎くんを心配しながら、貴方のことを私が悩みに気づけないでキャラバンを去ってしまった彼の姿を重ねてた」

紛れもない彼女の本音。吹雪は目を逸らしてしまいそうになる。やはり花織さんは僕を見てくれていたわけではないんだ、僕はいなくてもいい人間だった。吹雪はますます殻に閉じこもろうとする。だが花織の手が吹雪の頬を撫で、彼の手を強く握った。吹雪が心を閉ざそうとするのを引き留めようとする。

「でもだからといって、士郎くんがどうでもいいわけじゃない。だって士郎くんは大切な仲間だから」

仲間、その言葉に吹雪の瞳が一瞬光を映す。仲間、その言葉が静かに吹雪の胸の中に響く。今の僕を仲間だと呼んでくれるのだろうか、花織の声は優しく吹雪の胸に滑り込んでくる。

「私は自分の仲間である士郎くんを一人にはしたくないんだよ」

どくん、と心臓が大きく音を立てた気がした。花織さんは、僕を心配してくれているんだ。この手に声に、そして瞳に嘘はない。彼女の瞳は大きくて優しい。吹雪は花織を見つめる。花織はゆっくりと立ち上がって吹雪の頭を自分の胸の中に抱き寄せた。

「ゆっくりでいい、士郎くんの気持ちを教えて?……私にできることなら力になるから」

胸がズキズキと痛む感覚が僅かにある、しかし吹雪は柔らかい胸の中の心地よさに包まればそれは些細なものだった。息をすれば温かな良い匂いがした。柔らかな心臓の音が聞こえた。いつぶりに誰かの温もりをこんなに近くで感じただろう。

暖かくて優しくて吹雪の目からは涙が零れた。

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