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嫉恋

第16章 交錯する想い




***

花織は吹雪の手を引いて、あまり人目に付くと所は避けようと雷門中の敷地内、イナビカリ修練所へとやってきた。ここは地下であるため復興作業には関係なく、何よりきっと今日は誰も来ないだろう。本当は部室やキャラバン内で話すのが良いのだろうが、部室はまだ工事が終わらないし、キャラバンは鍵が閉められてしまった。

「こんなところでごめんね。でもここなら誰にも気を遣わずに話せると思うから」

内部にあるベンチに吹雪を誘導しながら花織が困り顔で笑って見せた。吹雪は花織に連れられるがままここへ来て、ベンチへ腰かける。広い修練場に二人の足音が消える。花織も吹雪の隣に腰かけて吹雪の顔を覗きこんだ。

「……花織さん」

吹雪は俯いて花織を呼ぶ。花織は黙って吹雪の言葉を待った。

「……花織さんはどうして僕の話を聞いてくれるの?」

吹雪が今にも消えてしまいそうな声で言う。吹雪にとっては花織が今、ここへ連れてきてくれたこと自体が疑問だった。自分を心配してくれる彼女に先日も酷い言葉を掛けたばかり、チームにとってもお荷物になった。それなのに彼女は今日も自分の隣に寄り添って笑い掛けてくれていた。何故だろうか、吹雪にはわからないことだった。

「どうしてって……、士郎くんが悩んでるのを放っておけないからだよ。一人で士郎くんを苦しませたくない。ただそれだけ」
「……アツヤは」

花織の言葉を遮って吹雪が静かに語り始めた。花織は口を噤む、吹雪の言葉を一言一句聞き逃さない様にしっかりと集中した。

「アツヤは僕に言った、……僕じゃ完璧になれない、僕が消えればいいって。みんなも、アツヤとのフォワードとしての力を求めてることに気付いた。……僕はアツヤになろうとした、アツヤになれば完璧になれるって思ってた。……でも」

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